地球温暖化でチョウの80%が生息域を拡大、27%は縮小…「熱帯の空白」がヤバい
地球が温暖化するにつれて、チョウたちがこぞって「引っ越し」を始めているらしい。
なんと世界105カ国・地域、1758種ものチョウを対象にした史上最大規模の調査で、実に80%の種が新たなエリアに進出していることが判明。その一方で、27%は生息域を縮小させ、22%は標高の高い場所へ移動しているという。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon この研究を率いたのはモナシュ大学のShawan Chowdhury氏らで、論文は『Nature Ecology and Evolution』に掲載。15言語の文献を渉猟し、49カ国68人の専門家の知見を集めた力作だ。これまで種の移動に関する研究の半分近くがヨーロッパに偏っていたため、熱帯域に大きな「盲点」があることが問題視されてきた。
実際、英語の文献だけを頼りにすると、生息域の拡大ばかりが目立って縮小の事例が過小評価されるという。専門家の評価や非英語の論文を加えることで、初めて「負けてるチョウ」の実態が見えてきたわけだ。
国別に見ると、チェコは拡大率84%でトップ。スウェーデンは縮小率85%と最も高く、メキシコは標高移動率39%で突出している。もちろんこれは「確認された証拠の数」であって、その国の全チョウが動いているわけではないので注意。
気候変動と異常気象が移動の原因として最も多く報告され、次いで農業などの土地利用変化が挙がった。オセアニアでは外来種や宅地開発、南米では人間による撹乱が上位に。
具体例もいくつか紹介されている。ブラジルである種が温暖化に伴い2州から3州目へ拡大。ドイツでは湿地の排水で生息地を失った種が。ルーマニアでは農業の変化で激減した種がいる。アメリカでは外来チョウが在来種を激減させたケースも。
しかし最大の問題は「データが無い」ことだ。中央アフリカ、東南アジア、アマゾン盆地、ニューギニア島など、世界のチョウの多様性を支える熱帯地域のデータが極端に不足している。熱帯のチョウは暑さの限界に近いところで生きていたり、行動範囲が狭かったり、涼しい避難所が少なかったりと、特にリスクが高いとされる。
研究者たちは「熱帯でのモニタリング体制の大幅な拡充が急務」と訴える。また、保護区の多くは固定された地理的境界線で設計されているため、移動するチョウたちを守りきれない可能性が高い。過去の研究では、渡り性チョウの85%が世界の保護区ネットワークで不十分にしかカバーされていないという試算もある。
チョウは生態系の健康状態を示すバロメーターとされる。この研究は、気候変動が確実に彼らの暮らしを変えている一方で、それを追跡する道具がまだまだ不完全であることを暴き出した。データの空白を埋めることは、チョウそのものを守るのと同じくらい緊急の課題だ。
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