死にゆく星の残骸、たった1万年で消える?らせん星雲の新発見
星が死ぬとき、そこには静かな終わりなんてものはないらしい。太陽みたいな恒星が寿命を迎えると、まずは赤色巨星に膨れ上がり、外側のガスをゆっくりと吹き飛ばしながら、輝く星雲を残していく。そのガスやチリはやがて星々の間に拡散し、新しい星や惑星の材料になる――いわゆる「宇宙のリサイクルシステム」だ。
ただ、このプロセスを実際に“見える形”で捉えるのが、とんでもなく難しかった。ところが今回、イェール大学のピーター・ヴァン・ドックムさん率いる研究チームが、建設途中の望遠鏡を使って、その現場を鮮明に写し出すことに成功した。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 使われたのは、チリのエル・サウス天文台で建設中の「MOTHRA(モスラ)」という望遠鏡。まだ30台ある予定のうち5台しか動いていない状態だったけど、水素ガスの出す特定の波長だけを通すフィルターを搭載したカメラで観測したら、らせん星雲の東側に22個もの「バウショック」が浮かび上がってきた。
バウショックってのは、死にゆく星から飛び出したガスの塊が、周りの星間ガスに超音速で突っ込むときにできる衝撃波のこと。例えるなら、モーターボートが水面を切ってできる航跡みたいなものだ。塊そのものは見えないけど、周りのガスを圧縮して光らせるから、存在がわかるらしい。
しかも、それらが白亜矮星(星の死後に残る超高密度の核)からの距離によってどんどん小さく、ぼやけていく様子がはっきり確認できた。研究チームによると、この衝撃波の大きさは約3光年の範囲で100分の1まで縮小。その変化から計算すると、星の破片がまとまった塊として存在できる期間は、わずか1万年程度だという。
「星の寿命の終わり近くではがれた物質が、ばらばらになって銀河に戻されていく過程を、直接観測するのは非常に難しかった」とヴァン・ドックムさんはコメント。「遠い将来、太陽も同じようなプロセスを経て、その物質は同じサイクルに組み込まれるでしょう」
研究チームはさらに、衝撃波の色の比率から速度も割り出した。東側の衝撃波は秒速80~90km。そこから星雲自体の運動(秒速約45km)を差し引くと、ガスの塊が膨張する速度は秒速35~45kmになる。この速度で逆算すると、これらの塊は2万~3万年前に放出されたものらしい。星雲そのものの年齢が約1万2000年とされているから、ちょっと古い時代の“遺産”ってことになる。
共同研究者のイマド・パシャさん(ドラゴンフライ集中研究機構)は「中心に近い衝撃波は大きくてシャープだけど、遠くに行くほど小さく、ぼんやりして、さらに細かく砕けていく」と説明。この「空間的な変化」が、そのまま「時間的な変化」を物語っているわけだ。
つまり、星の死にざまは一瞬の出来事ではなく、数万年かけてじわじわと進行し、その間に物質が銀河全体にばらまかれていく――そんな壮大なリサイクルの現場が、今まさに明らかになりつつある。
ちなみに、この研究結果は学術誌『ネイチャー』に掲載された。まだ建設途中のMOTHRAの“お試し観測”でこれだけの成果が出たんだから、フル稼働したらどんな発見が待ってるのか、ちょっと楽しみでもある。
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