心臓の「この数値」が低いと、3年後に記憶力が低下する可能性が判明
「心臓の検査結果、見てみる?」と言われても、多くの人は「はいはい、問題なしでしょ」とスルーしがち。でも、心エコー図に埋もれたある数値が、数年後のあなたの記憶力を予測しているかもしれない——そんなちょっと怖い話が飛び込んできた。
ドイツのマックス・プランク研究所が73人を平均3年半追跡した研究によると、心臓が血液を送り出す力を示す「駆出率(EF)」という数値が低い人ほど、後日行った脳スキャンで記憶に関わる領域に微細な組織の乱れが見られたという。しかも、この関連は「心不全です」と診断されていない人にもはっきり出た。つまり、自覚症状がなくても、心臓のポンプ力が弱っていると、気づかないうちに脳に影響が出始めている可能性があるわけだ。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 研究チームは参加者を初回検査時点で心不全グループ33人と非心不全グループ37人に分け、駆出率とNT-proBNPという心臓に負担がかかると上昇する血液マーカーを測定。約3年半後に拡散テンソル画像(DTI)という特殊なMRIで脳の微細構造を調べた。通常のMRIではわからない、水分子の動きの変化で組織の「乱れ具合」をキャッチする手法だ。
結果、駆出率が低いほど脳の記憶関連領域で水分子の動きが異常になっていた。さらに、統計解析を進めると、この脳組織の乱れが「弱い心臓ポンプ」と「低い記憶スコア」の間を橋渡ししている可能性が示唆された。つまり、心臓が弱ると脳がダメージを受け、その結果として記憶力が落ちる——という流れがデータ上で浮かび上がったのだ。
影響を受けた脳領域は、アルツハイマー病の初期に脆弱になる部分と重なるというのも気になるところ。ただし、この研究ではアミロイドやタウというアルツハイマー関連タンパク質は測定していないので、直接的な関連はまだ推測の域を出ない。
研究者らは「心機能の低下は従来のスキャンでは見逃されるような脳組織の乱れを引き起こし、それが記憶障害につながる」と指摘。駆出率はまだ個人の記憶力を予測するツールとしては使えないが、「心臓のほんの少しの変化が、記憶の問題が表面化するずっと前に脳の健康について何かを教えてくれるかもしれない」と話している。
ただし、サンプルは73人と小さく、観察期間も一度きりのスキャン。因果関係を確定するにはさらなる大規模研究が必要だ。とはいえ、「心臓が弱い=脳もやばいかも」というのは、健康診断の結果を見る目が変わる話ではないだろうか。エコー検査の数値、次回はちょっと真剣に眺めてみよう。
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