40代からの子宮は「細菌不足」?老化で減る善玉菌、腹腔鏡で発見された驚きの仕組み
「年を取ってからの妊娠は卵子の問題だけじゃない、子宮自体も老化するんです」。そんな当たり前だけど見落とされがちな事実に、北京大学第三病院の研究チームがメスを入れた。
2021〜2022年に北京の1病院で不妊治療を受けた149人の女性を対象に、年齢を30歳未満・30〜35歳・35歳以上の3グループに分けて子宮内膜の細菌を調べたところ、加齢とともに「ラクトバチルス」という善玉菌が減っていることが判明。しかも妊娠に至った女性は、どの年齢グループでも、そうでない女性より子宮内のラクトバチルスが多いという結果が出た。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon この菌の中でも特に優秀だったのが「ラクトバチルス・ガセリ」。テストした5種類のラクトバチルスの中で、病原菌への攻撃力、子宮細胞への接着力、そして老化の原因となる酸化ストレスを抑える力のすべてでトップだった。
そこで研究チームは老齢のマウスにこの菌を膣から投与してみたところ、28日後には子宮組織の老化マーカーが減り、胚の着床率も改善。さらに菌が分泌する「EPS」という物質だけを取り出して培養した人間の子宮細胞にかけたところ、同じように老化を抑える効果が確認された。EPSを出せないよう遺伝子操作した菌では効果が激減し、外部からEPSを追加すると復活したというから、この物質がカギらしい。
効果の裏には「Hippo-YAP経路」という細胞の増殖や老化を調整するシグナル伝達網が関与していた。高齢の子宮ではこの経路が過活動になっていたが、菌やEPSがそれを健康的なレベルに抑えたのだ。
ただし研究はまだ初期段階。サンプルは北京の1病院に限られ、検査時に子宮を膨らませる液体を使うため細菌データに「ノイズ」が混じる可能性も。マウスと人間の生殖器は大きく違い、EPSが実際に膣から子宮まで届くかも未確認。研究者も「さらなる薬理学的・翻訳的研究が必要」と慎重だ。
とはいえ、子宮内の細菌バランスが年齢とともに変わり、それが妊娠しやすさに直結する可能性を示した意義は大きい。本来は常在菌であるラクトバチルスが作る「EPS」という物質を直接使うアプローチは、生きた菌を投与するより安全かもしれないとの見方もある。不妊治療の現場に、子宮の老化対策という新たな選択肢が加わる日は来るのか。今後の研究に注目だ。
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