通帳の入出金で「うつ」がわかる?43本の研究を総ざらいした結果
「お金の使い方」が、心の病のサインになる——そんな話を聞いたら、思わず自分の通帳を見直したくなる人もいるだろう。
実は、お金とメンタルヘルスの関係は古くから指摘されてきた。借金を抱える人は、そうでない人に比べて精神障害を発症するリスクが3倍以上高いというデータもある。逆に、双極性障害の躁状態で衝動買いを繰り返し、結果的に借金を増やしてさらに症状が悪化する、という悪循環も知られている。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro ところが、この分野の研究手法は驚くほど“アナログ”なままだ。
アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの研究チームが、これまでに発表された43本の論文を総ざらいしたところ、実際の金融データ(銀行取引など)を使っていたのはたった4本。うち3本はギャンブルプラットフォームのデータで、リアルな銀行の取引履歴を分析した研究は、たったの1本だった。
その1本も、被験者はたった1人。双極性障害の患者の24カ月分、3373件の取引を調べたところ、軽度から中度の躁症状が出ている期間に支出が急増する傾向が確認された。あくまで「一人の事例」であり、これだけで一般化はできないが、金融データが行動変化を捉えるセンサーになる可能性を示した点では意義深い。
全体の79%の研究は2015年以降に発表されており、関心の高まりは明らか。しかし、その77%が伝統的な統計分析に頼り、ほぼすべての研究がアンケート調査で「お金の状態」を測っていた。自己申告には記憶違いや偏見、サンプルの偏りがつきまとう。
「研究の方向性も偏っています」とチームは指摘する。43本のうち27本は「経済的困難→メンタル悪化」の一方通行。逆方向(メンタル不調→貯蓄や就労への影響)を調べたのはたった2本で、双方向の関係を検証したのは1本だけ。
機械学習を使った研究は19%にとどまり、しかもどの研究も「時間の経過とともに支出パターンがどう変化するか」を追跡していなかった。
研究者らは「金融データがいつか、心の健康のデジタルバイオマーカーとして機能するかもしれない」と話すが、これはあくまで仮説。現時点では「証明された事実」ではない。
ただ、世界中で約11億人(世界人口の13〜14%)が精神障害を抱える今、すでに銀行口座に眠っている取引データを活用しない手はない——という主張には説得力がある。
プライバシーや同意の問題は山積みだが、適切に使えば「気づかないうちに悪化していた」を防ぐ強力なツールになるかもしれない。
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