アボカドの木、1日2回“性転換”してた…その謎を解く遺伝子が42百万年前からあった
アボカドって、実がなるまでに「1日2回の性転換」を毎日こなしているらしい。
朝はメス、昼はオスになるタイプと、その逆のタイプがいて、これを植物学者が「生理的調整の完璧さ」と絶賛したのが1927年。それから約1世紀、ようやくその仕組みを決める遺伝子が特定された。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro カリフォルニア大などの研究チームが突き止めたのは「SDMYB」というたった一つの遺伝子。この遺伝子の働き方によって、アボカドの花が「午前中にメス→午後にオス」になるAタイプか、その逆のBタイプかが決まる。
具体的には、Aタイプの木はBタイプより約2時間遅れて遺伝子がスイッチオン。その遅れが、花の2回目の開花(花粉を出すタイミング)をずらしているらしい。
しかもこの遺伝子、超古い。研究者がアボカドとその仲間56種、72個体のゲノムを調べたところ、同じ遺伝子の2つのバージョン(A1とA2)が少なくとも26種の野生種に分布。分岐したのは約4200万年前の始新世と推定された。
「こんなに長期間、2つのバージョンが共存し続けるのは植物では珍しい」と研究チームは言う。理由は「お見合い戦略」。Aタイプが多いとBタイプが有利になり、逆もまた然りで、自然にバランスが取れる仕組み。実験でも、受粉の85〜88%が異なるタイプ間で起きていることが確認された。
ちなみに、この性転換行動自体はシナモンなど別のグループでも報告があるが、SDMYB遺伝子は見つからなかった。つまり、同じような仕組みを進化が何度も別の方法で発明した可能性があるらしい。
実用的にも朗報。アボカドの木は花を咲かせるまで5〜12年かかるが、この遺伝子マーカーを使えば苗の段階でタイプが判別できる。果樹園には両タイプをバランスよく植える必要があるので、品種改良のスピードが劇的に上がる。
「もはやキッチンの定番になったアボカドが、こんな深い生物学的歴史を秘めているとは」と研究者も驚く。今度ワカモレを食べるときは、ちょっとだけその神秘に思いを馳せてみては。
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