NYCとDC、LED街灯を暖色に変えたら木々の目覚めが変わった?
ニューヨークとワシントンDCで起きている「街の明かりを減らそう」という取り組みが、なんと街路樹の春の芽吹きや紅葉のタイミングにまで影響を与えているかもしれない。
最新の衛星データを使った研究によると、これら2都市が夜間照明の削減政策を採用した結果、2022年から2023年にかけて街の明るさが測定可能なレベルで減少。それに伴い、植物の成長期の開始と終了にも変化が見られたという。
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー 研究チームは、SDGSAT-1と呼ばれる2021年打ち上げの新型衛星を活用。従来の衛星では捉えきれなかった「光の色」まで識別できるのがポイントだ。植物の体内時計に特に影響を与えるのは青色光で、現代のLED街灯はこのブルーライトを大量に放っている。
ワシントンDCでは2022年春から「スマート街路照明プロジェクト」を開始。7万5000基の街灯を、ブルーライトを抑えた暖色系(2700〜3000ケルビン)のLEDに交換した。その結果、DC市内の広範囲で青色光が目に見えて減少。ニューヨークでも全体的な減少が見られたが、マンハッタンの中心商業地域はパンデミック後の活動回復でむしろ明るくなったエリアもあるという。
一方、照明削減政策のないニューアークとフィラデルフィアでは、この期間に夜間の光が増加。対照的な結果となった。
植物への影響は具体的に数値として表れている。政策実施前、NYCの成長期開始はニューアークより平均2.1日早かったが、実施後は逆転し、NYCの方が約2.0日遅くなった。DCとフィラデルフィアの比較でも、その差は約8.8日から5.0日に縮小。秋の紅葉についても同様で、NYCの植物は以前より約1.6日長く葉を保っていたが、政策後はニューアークより約8.0日早く成長期を終えるようになった。
「街灯の種類が、隣の街のカエデが春に目覚めるタイミングを変える」というのは一見こじつけのようだが、夜間の人工光が植物の体内時計を乱し、春の成長を早め、紅葉や落葉を遅らせるという証拠はこれまでも蓄積されてきた。今回の研究はさらに踏み込んで、「自治体の政策でその混乱を緩和できるのか」という問いを立てている。
研究者らは「これはあくまで探索的な結果」と慎重だ。分析に使えたのは政策実施後のたった1年分のデータと2組の都市ペアのみ。気温や土地利用、植物の種類など他の要因も影響している可能性がある。結論を出すには、より多くの都市と長期間の観測、地上での実測が必要だとしている。
それでも、今後の街灯政策に一石を投じる内容だ。研究者たちは「明るさだけでなく光の色を考慮すべき」と指摘。暖色系の照明、遮光器具、明るさの低減、タイマーや調光機能の導入などが選択肢として挙げられている。将来的には、カリフォルニアの新築住宅へのソーラーパネル義務化のように、新規開発に持続可能な照明を義務付ける可能性も議論されている。
街の明かりを少し変えるだけで、木々の目覚めまで変わってしまう。そんな生態系への影響を考えれば、夜の街の照明計画もただのデザイン問題では済まなくなってきているようだ。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon
今、あなたにオススメ