認知症患者に朗報?血液サラサラ薬が記憶力低下を抑制する可能性、スウェーデン研究
アルツハイマー病の進行を少しでも遅らせたい――そんな願いを持つ人々に、意外な味方が現れた。ある種の血液サラサラ薬が、認知機能の低下を緩やかにする可能性が、スウェーデンの大規模研究で示唆されたのだ。
**血栓予防薬と認知症の意外な関係**
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー 研究チームは、スウェーデンの全国データベースから、アルツハイマー病と診断され、かつ不整脈(心房細動)の既往がある患者約7300人を抽出。彼らを「抗凝固薬を服用していない群」「従来型のワルファリン服用群」「新しい経口抗凝固薬(NOAC)服用群」の3グループに分け、5年にわたって追跡した。
その結果、NOACを服用していたグループは、何も服用していないグループと比較して、認知機能の低下が年間約0.23ポイント遅いことが判明。この効果の大きさは、現在アルツハイマー病治療に使われる一部の薬(コリンエステラーゼ阻害薬)と同程度だという。
なぜ血液サラサラ薬が脳に効くのか。研究チームは、血栓を予防することで、自覚症状のない微小な「サイレント脳卒中」を防ぎ、記憶を蝕むダメージを軽減している可能性を指摘。さらに、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβが、血液凝固システムと相互作用して病状を悪化させるという実験結果もあり、凝固系を正常化することが病気の進行を遅らせる可能性があるとしている。
**NOACは脳卒中予防でも優秀**
NOACは認知機能だけでなく、臨床的なアウトカムでも優れた結果を示した。無治療と比較して、死亡リスクが19%、脳卒中・全身性塞栓症のリスクが34%、骨折リスクが21%も低下。一方、従来型のワルファリンも脳卒中や死亡リスクを減らしたが、大出血のリスクが31%高いという結果が出ており、高齢者には注意が必要だ。
**ただし「認知症治療薬」と考えるのは早計**
研究を主導したカロリンスカ研究所のチームは「あくまで観察研究であり、因果関係を証明したわけではない」と慎重だ。NOACを処方された患者は、もともと健康意識が高く、家族のサポートが得られやすいなど、測定できない要因が結果に影響している可能性もある。
また、心房細動患者の多くはアルツハイマー病診断前にすでに抗凝固薬を服用していたため、この研究は「新規に服用を始めた効果」ではなく「継続的な服用の効果」を反映している点も注意が必要。
専門家は「現時点では、アルツハイマー病患者への抗凝固薬の処方は、認知機能の改善目的ではなく、あくまで脳卒中予防が第一義」と強調。もしあなたや家族が該当するなら、自己判断で薬を変えたり止めたりせず、必ず主治医に相談してほしい。
それにしても、まさか「血液サラサラ薬」が認知症の進行を遅らせる可能性があるとは。創薬の世界は、思わぬところにヒントが転がっているものだ。
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