赤ちゃんが超泣き虫だったのは昔から?30万年前のホモ・エレクトスも頭の形で証明
「うちの子、寝かせておくと頭の形が…」という悩み、実は30万年前から人類の宿命だったのかもしれません。
東京大学の海部陽介さんたちの研究チームが、インドネシアで見つかった6つの化石人骨の頭蓋骨を調べたところ、そのうち3つに「乳児期に長時間仰向けで寝かされていた」証拠が見つかりました。この3つの化石は、ホモ・エレクトス(2個)と、いわゆる“ホビット”として知られるホモ・フローレシエンシス(1個)。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 現代の赤ちゃんが、柔らかい頭の骨を同じ姿勢で寝かせ続けると後頭部が平らになったり非対称になったりする「変形性斜頭症」と同じ痕跡が、これらの化石にも残っていたんです。
研究チームはまず、現生の大型類人猿(チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン)の頭蓋骨996個と、現代日本人の頭蓋骨508個を比較。類人猿の赤ちゃんは生まれてすぐに自分の首を支え、母親にしがみつけるため、頭蓋骨のゆがみがほとんど見られません。一方、人間の赤ちゃんは首がすわるまでに数カ月かかり、寝かせている間に頭の形がゆがみやすい。この差は、人間だけが「未熟な状態で生まれる」という進化のトレードオフの結果です。
人間の脳は出生後も急激に大きくなるため、産道を通り抜けやすくするためにあえて未熟な状態で生まれる。その代償として、赤ちゃんは長時間おとなしく寝ているしかなく、結果として頭蓋骨がゆがむのです。
研究チームはこの基準を使って、インドネシアの6つの化石を分析。すると、ホモ・エレクトスの化石「Ngawi 1」と「Ngandong 12」、そしてホモ・フローレシエンシスの「LB1」が、類人猿の範囲を超えた明らかな非対称性を示しました。
特に興味深いのは、“ホビット”ことホモ・フローレシエンシスです。この種の脳の大きさは426ccと、はるかに古いアウストラロピテクス(「ルーシー」で有名)と同程度ですが、乳児期の成長パターンは人間と同じだったことが示されました。つまり、島という隔離された環境で脳が小さくなっても、赤ちゃんの育て方は人間らしさを保っていたのです。
さらに、これまでにネアンデルタール人でも似た証拠が見つかっていることから、約30万~10万年前の世界各地で、少なくとも4つのホモ属の系統が、手のかかる赤ちゃんを協力して育てていた可能性が浮かび上がりました。
当時のジャワ島にはトラやヒョウが、フローレス島にはコモドドラゴンや巨大な腐肉食の鳥がいました。そんな危険な環境で、頭のやわらかい動けない赤ちゃんを一人で育てるのはほぼ不可能です。研究チームは「これらの化石は、単独ではできない子育てを、集団で助け合っていた証拠だ」と結論づけています。
ちなみに、この研究は日本学術振興会の科研費などで行われ、東京の国立成育医療研究センターで2014~2018年に収集された現代乳児のCTデータも使われています。論文は『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。
「頭の形がゆがむ」なんて、今では気にする親も多いけれど、実は人類の歴史そのもの。あなたの赤ちゃんの絶壁頭も、祖先たちが生き抜いてきた証なのかもしれませんよ。
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