3割の大学生が重度不安、原因は「教育そのもの」と神経科学教授が警鐘
「うちの学校、ストレスで回ってるよね」——そんな声が聞こえてきそうな研究結果が出た。米バージニア大学で生物学と神経科学を教えるエリン・クラボー教授が、米国の教育システムは「成績」「常に生産的でいること」「失敗への恐怖」で生徒を追い詰め、結果として不安障害やうつを量産していると主張している。
調査は8万4000人以上の大学生を対象に実施。その3分の1が中等度から重度の不安を自覚し、ほぼ同じ割合がうつ症状を報告した。15歳時点での学業プレッシャーが成人後も続く抑うつ症状を予測するというデータもある。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon クラボー教授は「幼い頃は好奇心そのものがドーパミンを放出し、『好奇心ループ』で楽しく学べる。ところが学校がテストや評価でそのループを断ち切ってしまう」と解説。成績や親の期待、同僚との競争が慢性的なストレスに変わり、脳の海馬(記憶のエンコードに関わる部位)を委縮させ、前頭前皮質(ストレス対処能力)も損なう。さらにドーパミン反応が鈍るため「何をやっても楽しくない」状態に。これがうつ症状に直結する。
同教授は「ストレス」という言葉の語源にも言及。1855年に技術者たちが「苦痛(distress)」から派生させ、梁(はり)が複数方向から引っ張られたりねじられたりして変形する状態を指して作った用語だという。「若い脳に同じことをすれば、教育過程だけでなく神経発達そのものが歪む」と警鐘を鳴らす。
実際に教授の授業を受けた学生「ハンナ」(仮名)は高校時代を「完全なロボットだった」と振り返る。「極度の不安に襲われ、人生が乗っ取られた。学ぶ楽しさなんてゼロ」。彼女は大学に入ってから日記や読書、何年ものカウンセリングを通じて「プログラミング」と本当の学びを分離し、強迫的な勉強習慣を「アンラーン(学び直し)」したという。
クラボー教授自身もこの現実を受け止め、300人規模の医学部予備コースで授業スタイルを変更。従来の講義形式をやめ、構造と帰属意識を重視し、現実の問題やゲームを導入。学生同士で教え合う機会を設け、課題に選択肢を与え、振り返りの時間を確保している。「厳しさと恐怖は同じじゃない」と強調する。
「今のシステムは意図せずして不安を生み出す機械になっている。教育者も親も政策立案者も『生涯学び続ける人間を育てたい』と言うが、実際に生み出しているのは不安で燃え尽きた学生たちだ。システムの本当の目標は、それが実際に産み出すもの——つまり不安——にある」とクラボー教授は断じる。
日本の教育現場にも通じる話だけに、読者からは「まさに自分がそうだった」「子供に同じ思いをさせたくない」と共感の声が相次いでいる。
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