人生に打ちのめされた人ほど陰謀論にハマる?英研究が示す意外な心理
「世の中、何か裏で糸を引いてるヤツがいるんじゃないか」——そう感じたこと、ある人も多いのでは?実は、そうした考え方の根っこに、意外な“個人の体験”が関係しているかもしれない。
英ノッティンガム大学とカンブリア大学の心理学者チームが、のべ1284人を対象にした3つの研究で、こんな興味深い傾向を突き止めた。人生で重ねた困難——病気、暴力、経済的破綻、離婚、自然災害など——が多い人ほど、「世界は根本的に不公平だ」という感覚を持ちやすく、その感覚が陰謀論を信じる傾向と強く結びついているというのだ。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 研究チームはまず、275人のオンライン参加者に、35種類の逆境(事故、死別、家庭内暴力など)を人生でいくつ経験したかチェックしてもらった。すると、経験した逆境の数が多いほど「世界は不公平」と感じる傾向が強く、その不公平感が陰謀論的な思考を高めることがわかった。イギリスの生活費危機の中で、直近6ヶ月に経済的苦境に立たされた人にも同じパターンが見られた。
さらに踏み込んだ第2の研究では、暴力犯罪の被害にあったことがある人とない人を比較。被害者は非被害者より有意に「世の中の不公平さ」を感じており、その差が陰謀論への傾倒と統計的に関連していた。年齢や性別、学歴を調整してもその関連は消えなかったという。
最もドラマチックなのは第3の研究だ。538人の参加者に、イギリス社会が「ますます公平になっている」と主張する記事と、「ますます不公平になっている」と訴える記事のどちらかを読ませたところ、不公平記事を読んだグループの方が、陰謀論への支持——特に「政治エリートが秘密裏に動かしている」という具体的な信念——が一時的に高まったのだ。アンケートではなく実験で因果関係を示した点が画期的だ。
ただし、研究チームは「苦難を経験した人が全員陰謀論に走るわけではない」と強調する。鍵を握るのは、その人が自分の苦しみをどう解釈するか。つまり「人生はどうせ理不尽だ」と受け止めるか、それとも「この経験に意味を見出そう」と考えるか。後者のような柔軟な対処ができる人は、陰謀論に引き寄せられにくい可能性があるという。
研究者らは「人々がつらい体験を処理し、新たな意味を再構築するのを助けることが、陰謀論の魅力を減らすかもしれない」と指摘。ただし、本当に存在する社会的不正義を単に「気の持ちよう」とリフレーミングさせるのは不適切で、その場合は正当な政治的チャネルや修復的司法が有効だと釘を刺している。
「人生に叩きのめされた経験が、必ずしも陰謀論への入り口になるとは限らない。しかし、不公平感というフィルターを通して世界を見るようになると、その危険性は確かに高まる」——研究はそう警鐘を鳴らしている。
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