腸の難病、診断の2〜3年前から精神疾患リスクが急上昇。10年後も続く衝撃データ
「お腹が痛い」と思って病院に行ったら、実は数年前から心の健康も蝕まれていた——そんな驚きの研究結果が、スウェーデンの大規模コホート研究で明らかになった。
対象は炎症性腸疾患(IBD)患者4万3000人以上と、一般人口から抽出した17万9000人。IBDはクローン病や潰瘍性大腸炎を含む、消化管に慢性的な炎症を起こすつらい病気で、世界中で数百万人が悩まされている。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 研究チームが診断前後の精神疾患リスクを調べたところ、なんと診断の2〜3年前からリスクが上昇し始めていた。診断2年前の時点で、IBD患者は一般の人より精神疾患を持つ確率が15%高く、診断直後にはピークに達した。診断から6カ月後には精神疾患リスクが50%アップ。その後は徐々に下がるものの、10年経ってもなお19%高い状態が続いていた。
特に顕著だったのは大うつ病と不安障害。診断6カ月後、うつ病リスクは70%、不安障害リスクは57%も高かった。さらに、アルコールや薬物の乱用リスクも上昇。統合失調症やパーソナリティ障害、ADHDとの関連は見られなかったが、自閉症スペクトラム障害は診断直後にやや多く診断される傾向があった。研究者は「これはIBD診断後に医療機関を受診する機会が増えるからだろう」と推測している。
「遺伝的に精神疾患になりやすい家系だからでは?」という疑問を検証するため、研究チームはIBD患者とその健康な兄弟姉妹2万6807組を比較。兄弟姉妹は遺伝子や幼少期の環境を共有している。もし遺伝が原因なら、兄弟姉妹間でリスク差は出ないはず。しかし結果は、IBD患者の15.6%が診断後に精神疾患を発症したのに対し、健康な兄弟姉妹は12.6%。やはりIBD患者の方が高かった。
研究者は「診断前の未診断の腸症状によるストレスや、腸内環境の変化が脳に影響を与えている可能性がある」と指摘。実際、診断5年前から抗うつ薬や抗不安薬の使用が増えていることも判明した。
「IBD患者のメンタルヘルスリスクは、診断のかなり前からすでに高まっている。医師は診断時だけでなく、その後何年も、うつや不安、薬物乱用に注意を払うべきだ」と研究チームは警鐘を鳴らす。
この研究はスウェーデンの全国データを使った観察研究で、因果関係を証明するものではない。しかし、IBDという腸の病気が、単なる消化器の問題ではなく、心の健康にも長期的な影響を与えることを示す強力なエビデンスと言えるだろう。
「お腹だけじゃない、心もケアが必要」——そんなメッセージが、この研究からはひしひしと伝わってくる。
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