「AI導入しても仕事が変わらない」問題、CTOが指摘する根本原因
「ほとんどの企業が抱えているのはAIの問題じゃない。実装の問題だ」
こう断言するのは、ニューヨーク拠点のスタートアップ「Drachma」の共同創業者兼CTO、レオナルド・フェリペ・ネローネ氏。同社は企業向けにカスタムAIシステムやアシスタント、エージェントを構築している。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー 多くの企業では、すでにAIが導入されているのに、なぜか業務はあまり変わっていない。社員は新しいツールにアクセスできるようになったものの、いまだに答えを探すのに何時間も費やし、手作業を繰り返し、データをあちこちに移し替えている。
ネローネ氏は、この「断絶」こそがエンタープライズAIの現状を物語っていると指摘する。
Drachmaのアプローチは、「どんなAIツールを買うべきか?」ではなく、「どの業務プロセスを再設計すべきか?」という問いから始まる。同社は企業の実際のデータ、API、内部ツール、権限、ワークフロー、ビジネスルールにAIを接続。社員に「もう一つの質問窓口」を増やすのではなく、既存の業務の流れの中でAIを役立たせることを目的としている。
「統制されたプレゼンテーションは、重要なことのほとんどを隠せる」とネローネ氏は言う。「そのシステムが権限を理解しているか、適切なデータにアクセスできるか、ワークフローに適合するか、実際に人が使うかは、デモでは分からない」
彼は、企業がAIに求めるものが「質問に答えること」から「ワークフローの一部を完遂すること」「安全に情報を取得すること」「文書を分析すること」「ツールを使うこと」「チーム全体の意思決定を支援すること」へと変わってきたと見ている。そのためには強力なモデルだけでなく、システム設計が不可欠だ。
「モデルはシステムの一部に過ぎない。本当の仕事は、コンテキスト、統合、セキュリティ、信頼性、そしてビジネス成果だ」
特に「AIエージェント」という言葉が乱用されている現状にも警鐘を鳴らす。「エージェントと呼ばれているもののすべてが本当のエージェントとは限らない。チャットボットだったり、自動化だったり、単に名前を変えただけのアシスタントだったりする」
ネローネ氏が重視するのは「自律性の度合い」をタスクのリスクと価値に合わせること。「より多くの自律性が常に良いとは限らない。ワークフローによっては、AIは情報を準備するだけに留めるべきだし、アクションを推奨するだけのもの、実行まで任せるものもある」
Drachmaは実際に、クライアントのデータ環境に接続したカスタムチャットボットを開発。ユーザーが複雑な情報を自然言語で操作できるようにし、手作業の分析に頼らずに済むようにした。
「AIは摩擦を減らすべきだ。情報をより速く見つけ、ミスを減らし、反復作業に費やす時間を減らす」
技術系の創業者やこれからAIに取り組む企業へのアドバイスは「小さく始めろ」。1つのワークフローを選び、ベースラインを定義し、実際の環境でテストし、結果を測定する。価値が明確になってから初めて拡大すべきだという。
「印象的なプロトタイプと有用なプロダクトは別物だ。その違いは通常、ユーザーが見ることのない細部——データエンジニアリング、統合、セキュリティ、評価、コンテキスト、信頼性——にある」
ネローネ氏のビジョンは、人を置き換えることではない。無駄な努力を減らし、チームがより大きなレバレッジを得られるようにすることだ。「より速い分析、より少ないエラー、より良い判断、そしてより高価値な仕事のための時間。AIが本当に意味を持つのは、アナウンスやプレゼンテーションではなく、仕事のやり方が変わったときだ」
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