「時差ボケ、1日で治るかも」ホルモン注射でサルがスッキリ
時差ボケで深夜に空腹で目が覚めたり、昼間に頭がぼーっとしたりした経験、誰にでもあるよね。シフトワーカーなんかは、それがほぼ常態化してて、肥満や糖尿病、心臓病のリスクまで上がると言われている。
そんな悩みを解決してくれるかもしれない研究が、ライス大学とノースウェスタン大学のチームから発表された。なんと、体内で元々作られている「レプチン」というホルモンを、ちょっとしたカプセルに入れて注射するだけで、時差ボケを約1日早く治せちゃうらしい。
エアコンなしで部屋を涼しくするならこの一台Airio Pro レプチンってのは脂肪組織から分泌されるホルモンで、食欲や代謝を調整する働きがある。体内でも日内リズムを持って増減しているんだけど、ただ注射してもすぐに分解されちゃう(マウスだと約40分で消える)から、効果が続かなかった。
そこで研究チームは、ヒトの網膜色素上皮細胞を遺伝子操作してレプチンを作らせ、その細胞をアルギン酸でできた直径約300マイクロメートル(髪の毛3本分くらい)の小さなカプセルに封入。これを皮下に注射するという手法を開発した。カプセルの穴は、レプチンや栄養分は通すけど免疫細胞は入れないサイズに設計されていて、中の細胞を守りつつ、24時間安定してレプチンを分泌し続ける。実際、マウスでは血中に48時間もレプチンが検出されたそうだ。
で、実際に効くのか?実験では、マウスの照明スケジュールを4時間ずらして、時差ボケ状態を作った。すると、何も注射しなかったマウスは新しいスケジュールに慣れるまで約3日かかったのに対し、レプチンカプセルを打ったマウスは約2.3日で適応。約0.7日、つまり半日以上も早くリセットできたことになる。
さらに、マウスより人間に近い昼行性のカニクイザルでもテスト。照明を6時間ずらし(前進と後退の両方)、レプチンカプセルを打ったサルは、打たなかったサルより約1日早く体内時計がリセットされた。血中や腎臓・肝臓の数値にも異常はなく、体重も安定。副作用は見られなかったという。
特に面白いのが睡眠データ。時計を前進させた(東行きの時差ボケ)場合、レプチンカプセルを打ったサルは、注射後の2日目と3日目に「徐波睡眠エネルギー」(一番深い眠りの指標)がむしろ増加したんだ。通常、時差ボケでは深い睡眠が減るものだから、これは意外な発見。研究者も「レプチンがこの睡眠フェーズに影響するという先行研究と一致する」とコメントしている。
このカプセル、約2週間で中の細胞が自然に死んでしまうように設計されていて、1年経過しても体重変化はなし。つまり「必要なときだけ働いて、あとは消える」使い捨てタイプ。2週間後にまた注射すれば同じ効果が得られることも確認済み。
ただし、まだ初期の前臨床段階。どういうメカニズムで時計調整が速くなるのかは不明だし、サルの数も少ない。人間でテストするには、もっと大規模な長期安全性試験が必要。研究者自身も「メカニズムはまだ不明」と正直に認めている。
それでも、メラトニンや光療法みたいに「決まった時間に決まった量を摂る」面倒さがないのは大きい。シフトワーカーやフライトクルーにとって、この「自然に消えるレプチン工場」がいつか実用的な選択肢になる日が来るかもしれない。
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