DNAの文法を独学で習得したAI「Evo 2」、9兆塩基対を学習し遺伝子変異をゼロショットで判定
「DNAは生命の設計図」とよく言われるけど、その設計図をまるで小説みたいに「読めてしまう」AIが登場したらしい。
スタンフォード大学やArc Institute、NVIDIAのチームが開発した「Evo 2」は、細菌からヒトまで、なんと約9兆塩基対ものDNAを学習。特別な指示を与えなくても、遺伝子の「どこがおかしいか」を自分で見つけ出せるという。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro 要するに、文法ルールを一つひとつ教わらなくても「この文章、なんか変だな」と気づける人と同じ感覚。Evo 2はDNAの「文脈」を100万文字(塩基)単位で一気に読めるので、短い断片では見えない大きなパターンまでキャッチできる。
実際にどんなことができるかというと、まず「有害な遺伝子変異」の予測。事前に「これが病気の原因だよ」と教えていない状態(ゼロショット)で、ClinVarという人間の遺伝子変異データベースと勝負させたところ、タンパク質をコードしていない領域の変異を競合の教師なし手法より正確に判定。BRCA1(乳がん・卵巣がん関連遺伝子)の変異についても、良性と悪性を高精度で区別し、軽量の分類器で精密再現率曲線下面積(AUPRC)0.88を叩き出した。
さらにEvo 2はDNAを「書く」こともできる。ヒトのミトコンドリアゲノムの一部を与えると、約1.6万文字の配列を生成し、本来あるべきタンパク質コード遺伝子やtRNA、rRNAを正しい順番で並べた。マイコプラズマ・ジェニタリウムの断片からは、約58万文字のほぼ完全なゲノムを生成。予測遺伝子の約70%が既知のタンパク質ファミリーと一致し、既存モデルより精度が高い。
実際にマウス胚性幹細胞やヒト細胞株に設計DNAを挿入する実験も行われ、目的のクロマチン構造(遺伝子のON/OFFを決める構造)をAUROCスコア0.92〜0.95で達成。ヒト細胞では90%以上のデザインが狙い通りのパターンを示した。
ただし注意点もある。生成されたDNAが実際に生きた細胞内で機能するかはまだ未確認。また、高度な誘導生成には膨大な計算コストがかかり、すべてのラボが気軽に使えるわけではない。
安全性にも配慮されていて、真核生物に感染するウイルスの配列は学習データから除外。実際に人間のウイルス配列を予測・生成させても苦手で、悪用リスクは低い。さらに、既存の遺伝子ツールでありがちな「非ヨーロッパ系の人に予測が不利」という偏りも見られなかった。
Evo 2は完全オープンソースで公開済み。研究者なら誰でも使える。専門家たちは「生物全体をカバーする単一モデルへの大きな一歩」と評価している。
「生命の設計図を読めるAI」が、今後どんな発見をもたらすのか。ちょっとワクワクする話じゃない?
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