AI聴診器が猫の心雑音をほぼ全スルー、22個中20個を見逃す
AI搭載のデジタル聴診器が、ペットの心臓を聞き分けるのはまだ無理そうだ。北カロライナ州立大学の獣医循環器チームが、人間用に作られたAI聴診器「Core 500(EKO Health Inc.)」を105匹の犬猫でテストした結果、猫の心雑音はほぼ全滅、犬のリズム判定もめちゃくちゃだった。\n\nまず猫が悲惨。獣医循環器専門医が22匹に心雑音があると診断したところ、AI聴診器が正しく検出できたのはたった2匹。検出率は9%で、同じ場で聞いていた獣医学科4年生の64%には遠く及ばなかった。研究者いわく「猫は人間より心拍数が速く胸郭が小さい。この機器は人間用に訓練されているから、種の違いが原因だろう」とのこと。見事に拾えた2匹も、たまたまグループ内で最も心拍数が低く、雑音が最も大きかったケースだった。\n\n犬でも話はややこしい。AI聴診器の心雑音検出感度は約87%で、38匹中33匹を正しく拾った。ところが、実際には雑音がない16匹のうち7匹に「雑音あり」と誤判定。特異度は56%に落ちる。研究者が「獣医学生と同程度の成績」と評したように、かつて「AIが学生を上回る」との仮説は見事に外れた。さらにリズム判定はもっと酷い。犬では「不整脈なし」と分類された個体が1匹もいなかった。実際に正常洞調律だった23匹全員が「異常」または「分類不能」ラベルを貼られたのだ。心房細動の検出感度は100%だったが、偽陽性も22匹に上り、正解率は4分の1未満。原因は「呼吸性洞不整脈」という正常なリズム変動をAIが心房細動と誤認したこと。実際、このAI聴診器の結果を信じた他の病院から紹介されて来た犬が、精密検査で完全に正常だったケースが研究のきっかけだったそうだ。\n\n心拍数もおかしい。正常な心拍数の犬の約4分の3が「頻脈」と誤判定された。人間の心拍数を基準にしているから、犬には速く聞こえるのだろう。研究チームは「この機器を単独の診断ツールとして使うべきではない」と警告。AIの判定を盲信せず、生の心音やリズム波形を訓練された獣医師が確認する補助的な使い方を推奨している。特に診断設備が不足する地方や移動診療所では、生波形の録音機能が役立つ可能性はあるが、あくまでAI任せは禁物だ。\n\nユーザー側からすると、「じゃあ70%以上が毎週使ってるAIツールって何なんだ」とツッコミたくなるが、獣医療におけるAIは人間医療ほどの規制や検証を受けていないのが現実。2024年の調査で獣医師の約70%がAIを日常的に使っているというデータがあるだけに、この研究結果は衝撃的だ。研究者は「テクノロジーは有望だが、臨床検証が不可欠」と結論づけている。愛するペットの心臓をAI任せにするのは、もう少し待ったほうが良さそうだ。
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