退職初日から年3万円の赤字…米国リタイア層の貯金が98歳で尽きる現実
「退職後は悠々自適」――そう信じて働き続けてきた人たちに、ちょっと待ったをかけるデータが出てきた。
米国のオンライン金融業者Integra Creditが2025年10月にまとめた分析によると、平均的な退職者世帯は、仕事を辞めたその年から年間約5万7818ドル(約870万円)使っているのに対し、年金や投資など退職後の収入は約2万7617ドル(約410万円)。その差額、なんと3万201ドル(約450万円)が初年度からいきなり発生する。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro つまり、退職と同時に家計は毎年赤字。貯金を取り崩しながら生活する計算になるわけだ。
住宅ローンは平均68歳で完済するが、それでも年間支出は約3万7000ドル(約550万円)で、収入との差は約9500ドル(約140万円)残る。退職時の資産中央値は34万2383ドル(約5100万円)だが、平均寿命の79歳までに17万6722ドル(約2600万円)まで減少。そして98歳で貯蓄は完全に尽き、その後はマイナスに転じる。100歳では年間2万4227ドル(約360万円)の赤字だ。
「長生きはリスク」という逆説的な結論が、この数字からは見えてくる。
なぜこんなに支出がかさむのか。最大の要因は住宅費で、年間2万632ドル(約310万円)と全体の35.2%を占める。次いで交通費(8172ドル)、医療費(7540ドル)、食費(7306ドル)と続く。娯楽費(2672ドル)や衣料費(1130ドル)は合わせても7%未満。贅沢ではなく、ほとんどが生きていくための必要経費なのだ。
特に医療費は年齢とともに加速する。この分析では、医療費が退職後の家計をじわじわと圧迫する最大の要因の一つとされている。
住む場所によっても結果は大きく変わる。アラスカ、メリーランド、バージニア、カリフォルニア、コロラドの各州に住む退職者は、79歳時点でまだ23万8628〜28万6000ドル(約3600〜4300万円)を残している。一方、インディアナ、ウェストバージニア、アーカンソー、アイオワ、カンザス、ミシシッピの各州では、残る資産は8万4747〜12万1212ドル(約1300〜1800万円)と、3倍以上の差がつく。
これらの州は退職後の平均収入が年2万3500ドル(約350万円)を下回る一方、支出は全国平均並み。さらに年金や社会保障への課税が影響していると分析は指摘する。
「偉大な資産移転」という言葉で、団塊ジュニアやミレニアル世代が今後23年間に124兆ドル(約1京8000兆円)の相続を受け取るとの予測が話題になったが、この分析はそれに冷水を浴びせる。
「相続をあてにして貯金を減らしている若者は、そのお金がそもそも残っていないかもしれない」と示唆する内容だ。
もちろん、このデータは平均的なモデルであり、個人の状況は異なる。住宅ローンが早く終わるか、医療費が想定より抑えられるか、あるいは投資がうまくいけば、結果は変わってくる。
とはいえ、「退職したら働かなくていい」という夢の裏側で、年間3万ドルの赤字が待っているという現実は、退職を目前に控えた人なら一度は考えておくべき数字だろう。
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