9〜12歳で脳に違いが?統合失調症リスクの新研究
統合失調症といえば、たいてい10代後半から20代前半で発症するイメージがある。でも、その“根っこ”はもっとずっと早い段階で育っているかもしれない——そんなちょっとゾワっとする研究結果を、キングス・カレッジ・ロンドンなどのチームが発表した。
研究チームは9〜12歳の子ども88人を約4年間追跡し、MRIで脳を3回スキャン。その結果、統合失調症のリスク因子を持つ子どもたちは、そうでない子に比べて脳の「白質(はくしつ)」と呼ばれる神経の配線部分の体積が一貫して大きいことがわかった。この傾向は3回のスキャンすべてで確認され、今回の研究で最もハッキリした成果とされている。
夜用眼鏡が運転手の間でますます人気になるナイトライダー 白質っていうのは、脳の各エリアをつなぐ“ケーブル”みたいなもの。一方、情報処理を担当する「灰白質」については、家族に統合失調症の人がいるグループで一部変化が見られたものの、統計的な補正をかけると有意差は消えた。つまり、「白質の違い」が現時点ではもっとも信頼できるシグナルってわけ。
この研究のユニークなところは、被験者をどう集めたか。これまでの研究は「すでに症状が出て病院に来た人」か「家族に患者がいる人」が中心だった。でも、実際に統合失調症を発症する人の多くには家族歴がないし、症状が出てからでは遅すぎる。そこで今回は、地域の学校などから一般の子どもを募り、以下の3グループに分けた。
1. 「精神病のような体験(奇妙な知覚や思い込み)」や「言語・運動の発達の遅れ」「社会性・感情・行動の問題」という3つの警告サインを持つグループ 2. 統合失調症または統合失調感情障害の家族(親、きょうだい、祖父母など)がいるグループ 3. リスク因子がない対照グループ
これにより、まだ日常生活に大きな支障が出る前、つまり「助けを求める前の段階」の子どもたちをとらえることができた。
ただし、ここから先は慎重に読んでほしい。この研究は「リスク因子を持つ子どもの脳には、集団レベルで違いが見られる」という話であって、「この子が将来必ず統合失調症になる」と予測できるわけではない。実際、追跡調査で「臨床的高リスク」と判定されたのは10人未満。脳スキャンが診断ツールになるのもまだまだ先だ。
研究者たちは「臨床的な危機を待つのではなく、コミュニティベースでリスクのある子どもを特定するアプローチが重要」と強調する。ただ、現時点では「もっと研究が必要」というのが正直なところ。サンプル数88は決して多くないし、IQや家庭環境などの要因も考慮できていない。
「うちの子、大丈夫?」と心配になる親御さんもいるかもしれないが、あくまで現状は研究段階。この結果だけで診断やスクリーニングができるわけじゃない。気になることがあれば、ちゃんと専門家に相談するのが正解だ。
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