空腹感が戻っても食欲は減ったまま?セマグルチドの60週試験が示す意外な結果
「最近、あの食欲が抑えられる感じが弱くなった気がする…もう薬効いてないのかな?」
そんな疑問を持っている人に朗報だ。ペンシルベニア大学の研究チームが60週間にわたって実施した二重盲検ランダム化比較試験によると、セマグルチド(オゼンピックやウゴービの有効成分)を飲み続けている人は、主観的な空腹感や食べ物への執着心が薄れた後も、実際の食事量は減ったままでいることがわかった。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro 研究チームは過体重または肥満の成人120人を、セマグルチド2.4mgを週1回注射するグループ(72人)とプラセボグループ(48人)に分け、60週間観察。両グループとも同じカロリー目標と行動戦略を伝えるカウンセリングを17回受けた。
肝心なのは食事量の測定方法だ。20週目、40週目、60週目の時点で、参加者をラボに呼び、12時間絶食させた後に550キロカロリーの標準的な朝食を食べさせ、4時間後に「お腹いっぱいになるまで食べていいよ」と言ってランチビュッフェを出す。プレートの重さを0.1グラム単位で計測し、実際に食べたカロリーを計算した。
結果はこうだ。20週目ではセマグルチドグループはプラセボより約292キロカロリー少なく食べ、空腹感や食べ物へのこだわりも明らかに低かった。しかし40週目と60週目になると、空腹感のスコアはプラセボグループとほぼ同じレベルに戻った。
ところが、実際に食べたカロリーは違った。40週目で約240キロカロリー、60週目で約270キロカロリーと、20週目の差(292キロカロリー)とほぼ変わらなかった。プラセボグループは60週目には研究開始時と同じかそれ以上食べるようになり、体重も40週目以降リバウンドし始めた。
体重変化もこのパターンを反映。セマグルチドグループは20週目で平均9.9kg、40週目で15.0kg、60週目で15.4kgの減少を維持。一方プラセボグループは最終的に平均3.6kgの減少にとどまった。
研究チームは「患者には、治療開始から数ヶ月でベースラインの食欲感覚が部分的に戻ってくることを伝えるべきだが、それでも食べる量は減り続ける」とコメント。
ただし副作用は多い。セマグルチドグループの約94%が少なくとも1つの消化器系の有害事象を報告(プラセボは63%)。吐き気が74%と最多で、虫垂炎や胆嚢摘出が必要な胆石、急性気管支炎などの重篤な事例も3件あった(プラセボではゼロ)。
参加者の平均年齢は46歳、体重約107kg、BMI 37.5。78%が女性、72%が白人、90%が非ヒスパニック系と偏りがあり、結果の一般化には限界がある。またラボでの単一食事のみの測定で日常の食行動を完全に反映していない点、プラセボグループの脱落率が高かった点も注意が必要だ。
薬を長期間使うなら、食卓で感じる「空腹感」と実際に皿に盛る量は必ずしも一致しない、というこの研究結果は覚えておいて損はないだろう。
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