中年期の3つのリスクを避ければ認知症なしで12.6年長生きできると研究
「認知症にならずに元気でいられる時間」って、どれくらいあるんだろう?そんな素朴な疑問に真正面から答えた研究が、米国の医学誌『Neurology Open Access』に掲載された。なんと、中年期のたった3つの健康リスクを避けるだけで、認知症なしで過ごせる年数が12年以上も変わってくるというのだ。
研究チームは、米国内の4地域で1987〜1989年から続く大規模プロジェクト「ARIC研究」のデータを活用。55歳時点で認知症がなく、平均年齢約56歳の参加者1万2409人を、なんと中央値で26年(一部は2022年まで)追跡した。その間に認知症を発症したのは3008人、認知症にならずに他の原因で亡くなったのは5238人だった。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー 研究では、中年期の健康診断で「糖尿病」「高血圧」「現在喫煙している」の3つをチェック。該当する数が0〜3のスコアをつけ、55歳から95歳までの間に認知症なしで過ごせる年数を算出した。すると、見事な階段状の結果が。リスクが0のグループは平均30.1年、1つで26.3年、2つで21.0年、そして3つ全て該当すると17.5年まで急降下。つまり、最も健康なグループと最もリスクの高いグループの差は、なんと12.6年にもなる。
ここでちょっとした「ひねり」がある。3つ全てのリスクを抱える人は、認知症を発症する確率がリスク0の人より約3倍高い。ところが、それ以上に「認知症になる前に他の病気で死ぬ」確率が5倍以上も高かったのだ。その結果、95歳時点での認知症発症率は、健康なグループが42%に達したのに対し、リスクだらけのグループは23%で頭打ち。決して不健康が認知症を防いでいるわけではなく、単に長生きできなかったという悲しい現実を反映している。
さらに、人種や性別による差も明らかになった。女性は男性よりどのリスクレベルでも認知症なし年数が長く、3つ全てのリスクがある場合でも女性18.1年に対し男性16.6年。ただ、95歳までの生涯認知症発症率は女性40.3%、男性32.8%と女性が高め。これは単に女性の方が長生きするからで、病気が出現する時間的余裕があるためだ。
黒人参加者は白人参加者より全てのリスクレベルで認知症なし年数が短く、3つ全てのリスクがある場合、黒人16.0年に対し白人19.6年。しかも、最高リスク群の60.2%を黒人が占めており、研究者は「社会的・経済的要因への対策が治療と同じくらい重要」と指摘する。
遺伝子変異APOE-ε4(アルツハイマー病のリスクを高めることで知られる)を持つ人も、どのリスクレベルでも持たない人より認知症なし年数が短かった。
「心臓発作や脳卒中を避けることだけがメリットじゃない。血圧、血糖、喫煙を中年期に管理することは、もっとお金に換えにくいものを買ってくれる——明晰な頭で過ごせる年月をね」と研究者は語る。実際、一度認知症を発症すると、それからの生存期間はどのグループも3〜4年程度。つまり、認知症になるまでの時間をいかに引き伸ばすかが、人生の質を大きく左右するのだ。
「認知症になる確率が何%」という抽象的な数字より、「あと何年、ボケずにいられるか」という具体的な年数で示されると、中年期からの健康管理へのモチベーションもグッと上がるってもんだ。あなたも今日から、血圧と血糖値とタバコ、見直してみませんか?
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