ガソリン車を2年でEVに乗り換えても、CO2は44%削減できるという衝撃の研究結果
「まだ乗れるガソリン車をわざわざスクラップにしてEVに買い替えるなんて、もったいないし環境にも悪いのでは?」——そう直感する人は多いだろう。ところが、カリフォルニア大学サンタクルーズ校とサンタバーバラ校の研究チームが学術誌『Science』に発表した論文によると、その直感は大方の場合で間違っているという。
研究チームは、米国の平均的な電力網で16年間走るSUVを例に、「最初から最後までガソリン車を乗り続ける」「11年目でEVに買い替える」「2年目でEVに買い替える」の3パターンを比較。すると、2年目で思い切ってEVにスイッチしたケースでは、生涯排出量が44%も削減された。しかもEV製造時に発生する「炭素債務」は、たった3年でペイできたという。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 「え、でもバッテリー製造時のCO2がすごいんでしょ?」と思うかもしれない。確かにEVの製造、特にバッテリー部分はかなりの温室効果ガスを出す。しかし研究は「製造」と「走行」の2つのバケツで考える。ガソリン車は走行バケツが巨大だが、EVは電力網が年々クリーンになっている影響で、そのバケツが劇的に小さい。結果的にトータルではEVの方が圧倒的に有利になるわけだ。
研究チームは実際の車種や電力網、バッテリー製造方法を組み合わせたモデルで92%ものシナリオを検証。なんと92%のケースで、ガソリン車をEVに買い替えた方が排出量が減るという結果が出た。フォードF-150を電気版F-150ライトニングに乗り換えても同じ傾向で、しかも年間走行距離が平均的なアメリカ人の35〜54%程度でも、元が取れるというから驚きだ。
ただし、例外もある。プラグインハイブリッド車(PHEV)からフルEVへの乗り換えは、メリットがほとんどないか、むしろマイナスになるケースがある。また、石炭火力発電への依存度が高い地域では、EVの優位性がほぼ消えてしまう。ただ、そうした地域は米国の電力の約3分の1に過ぎないので、大半の地域ではメリットがあるという。
もう一つの落とし穴は、古いガソリン車をスクラップにせず中古車として売ってしまう場合だ。もしその中古車が誰かの低排出な移動手段(公共交通や自転車など)を減らし、自動車利用を増やす方向に働くと、排出量の削減効果が消えてしまう可能性がある。研究では、電力網の状況にもよるが、中古車の供給が増えた結果、42〜81%の人が低排出交通から自家用車にシフトした場合にのみ、メリットが消えると試算している。
さて、ここで現実的な壁になるのが「お金」の問題だ。研究チームは「現在のスクラップ補助金制度では、まだ新しいガソリン車を早期に廃車するのは経済的に無理がある」と認めている。カリフォルニア州の「Clean Cars 4 All」のようなプログラムはあるが、新しめの車をスクラップにするには十分なインセンティブではないという。
「環境のためには早期乗り換えが正解」と頭ではわかっていても、財布と相談すると踏み切れない。ここにこそ政策の出番がある、と研究者たちは指摘する。車の効率や地域の電力事情に応じた補助金の拡充が、有効な政策ツールになり得ると主張している。
「まだ乗れるのに捨てるのはもったいない」という感覚は理解できるが、気候変動対策の観点からは、その感覚を一度疑ってみる価値がありそうだ。特に日本でも電力網のクリーン化が進めば、同じような議論が起こるかもしれない。あなたの愛車、あと何年乗りますか?
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro
今、あなたにオススメ