平飼い卵が環境に悪いってホント? 英国の研究で判明した意外なトレードオフ
「動物福祉のため」と平飼いや放し飼いの卵を選ぶ人が増えている。でも、その“優しい選択”が実は地球に負荷をかけているとしたら?
英オックスフォード大などのチームが『Royal Society Open Science』に発表した研究によると、英国の卵生産をすべてケージフリーに切り替えた場合、温室効果ガス排出量が最大で60%以上増加し、農場で死ぬ鶏の数も年間100万羽近く跳ね上がるという。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 研究チームは、2022年の英国の産卵鶏約4044万羽をベースに、8つの生産シナリオをモデル化。現在の混合システム(ケージ26%、平飼い63%など)と、全面ケージフリー、全面有機放し飼いなどを比較した。
結果は明確だ。ケージ式は1kgの卵あたりの環境負荷が最も低く、温室効果ガスや水質汚染、土地使用量すべてで最小。逆に有機放し飼いは排ガスが現在比で60%増(年間2316キロトン相当)、土地需要も最大だった。平飼い(バーン)方式はエネルギー消費から大気汚染物質でワーストケースに。
なぜこんな逆転現象が起きるのか。カギは「効率」だ。ケージフリーの鶏は1羽あたりの産卵数が少ないため、同じ卵の数を確保するにはより多くの鶏が必要になる。さらに放し飼いの鶏は餌の消費量も多く、餌生産の段階で排出量が増加。屋外にまき散らされるフンも環境負荷を押し上げる。
動物福祉の観点でも単純ではない。ケージフリーの鶏は確かに動き回れるが、死亡率はケージの2.5%に対し、平飼いで7%、有機放し飼いでは8%に上昇。年間の余剰死亡数は非有機放し飼いで44万羽、有機で100万羽と試算された。
「環境コストも動物福祉政策の議論に含めるべき」と研究チーム。ただし「ケージを禁止すべきでない」と言っているわけではない。餌の効率改善や死亡率低減の工夫次第で、どのシステムも環境負荷は下げられる。そもそも卵消費そのものを減らせば、環境も鶏もハッピーになる可能性もある。
動物への思いやりと環境保護——どちらも正しい。でもその“正しさ”の間で、私たちの食卓は思わぬ板挟みになっているのかもしれない。
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