習慣は脳の2つのスイッチでできていた。京都大学の研究が示す意外な仕組み
歯磨きや通勤ルート、毎日同じ時間に無意識に手を伸ばすおやつ。日常生活の大半は脳の「自動運転」で動いていて、それ自体は別に悪いことじゃない。でも、同じ仕組みが暴走すると、強迫行為や依存症になってしまい、自分では止められなくなる。
そんな「習慣」の正体について、京都大学大学院医学研究科のチームが意外な事実を突き止めた。なんと脳は習慣をひとつのシステムで作っているのではなく、ほぼ独立した二つの回路を使い分けているというのだ。
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro 研究チームはオスのマウスを使い、まずレバーを一定回数押すと砂糖水が出る仕組みを覚えさせた。次に、時間経過で報酬が出るルールに変えると、マウスは「努力=報酬」の意識的な行動から、無意識の習慣へと切り替わった。
このとき脳内を詳しく見ると、前帯状皮質という領域のシナプス結合が、習慣ができる前は強まり、できた後に弱まることが判明。この回路を薬で弱めると、まだ意識的に行動していたマウスが、まるで習慣化したかのようにレバーを押し続けた。逆に、すでに習慣化したマウスでこの回路を強めると、意識的な行動に戻った。つまり、この回路は「選択」と「自動運転」を切り替える丁度いい感じのスイッチだったわけだ。
一方、頻度を決めるのはまったく別の回路。眼窩前頭皮質から報酬系へつながる経路が、習慣がどれだけ繰り返されるかをコントロールしていた。この回路を操作すると、レバーを押す頻度は変わるが、行動が習慣かどうかには影響しない。
さらに、光を使って特定のシナプス結合だけを消す精密な実験でも、この二つの回路が独立して働くことが確認された。前帯状皮質の経路を消すと、マウスは通常より早く習慣に陥った。報酬系の経路を消すと、レバーを押す頻度は激減したが、行動自体は習慣のままだった。
この発見は、強迫性障害(OCD)や依存症の理解に新たな視点をもたらす可能性がある。これまでは「習慣が自動化されること」と「それが繰り返されること」が同じプロセスだと考えられてきたが、実は別々のスイッチで制御されている。だからこそ、ある習慣は無害で終わるのに、別の習慣は制御不能に陥るのかもしれない。
ただし、研究はすべてオスのマウスで行われたもので、メスや人間でも同じ仕組みがあるかはまだわかっていない。研究チームも「この二重システムが人間にも存在するかは今後の課題」としている。それでも、習慣を「ひとつのもの」と見なすのをやめ、脳の異なる仕組みとして捉え直すきっかけになるのは間違いない。
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