グランドキャニオンロッジ炎上…米国の歴史的建造物5600件が山火事リスクに直面
2025年7月、アリゾナのグランドキャニオンロッジが山火事で全焼した。1927年築の歴史的建物は、1932年の火災を乗り越え約100年近く立ち続けてきたが、ドラゴンブラボー火災によって一瞬で灰になった。
この損失は「始まりに過ぎない」かもしれない。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究チームが科学誌『Scientific Reports』に発表した初の全国調査によると、全米の国立登録史跡5万6000件超を分析した結果、約5600件が山火事ハザードの上位10%にあたる高リスクゾーンに位置しているという。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 特に深刻なのは、国全体の歴史に貢献する「国家的に重要な史跡」だ。登録物件全体のわずか8%を占めるに過ぎないが、その15%が高リスク地域に集中。州レベルの重要物件では11%、地域レベルでは9%と、重要性が高いほど危険にさらされやすい傾向が浮き彫りになった。
危険地域はロッキー山脈やカリフォルニア、オレゴン、モンタナなどの西部に偏るが、オクラホマやアパラチア山脈、南東部沿岸部など「まさか」という場所にもホットスポットが存在。アーカンソーでは地元レベルの史跡が驚くほど多くリスクに晒されている。
2025年1月のロサンゼルス火災でも、ウィル・ロジャース牧場住宅とアンドリュー・マクナリー邸という2件の登録史跡が焼失。ウィル・ロジャース物件の再建には州から360万ドル、保護機関から150万ドルが見積もられているが、失われたものを完全に再現できるかは不透明だ。マクナリー邸の行方は未定のまま。
なぜ歴史的建造物は防火対策が難しいのか。建築物や歴史地区は登録物件の約90%を占めるが、そのほとんどが現代の防火基準より前に建てられている。古い木材は炎に弱く、石も熱で割れたり弱体化したりする。防火改修しようとしても、連邦の保存規則が「元の外観を保つ」ことを求めるため、耐火素材との相性が悪い。隠れスプリンクラーや煙探知機、植生管理である程度は対策できるが、例えばヨセミテのアワニーホテルでは、歴史的景観を守るために特定の樹木を残す必要があり、防火のために伐採すれば「守るべき価値」そのものが失われるジレンマを抱える。
研究を主導したチームは「今回のマッピングは現状のスナップショットに過ぎず、気候変動による将来のリスク拡大を反映していない」と指摘。さらに、2万5000件近くが過去に登録を抹消されており、その理由が不明なため、火災で失われた正確な数すら把握できていないという。
「一度、ランドマークの特徴が失われれば、どんなに再建しても完全に元に戻すことはできない」。火災シーズンが年々激化する中、次の炎が到達する前に、どこに資源と注意を集中すべきかを示す地図がようやく整った。
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