200年前の“負け説”が復活?進化論に新たな波、ダーウィンだけじゃ足りない
「進化論」と聞けば、まず思い浮かぶのはチャールズ・ダーウィンの自然選択説だろう。ところが今、科学者たちの間で、200年以上前に唱えられながら長らく“間違い”とされてきた別の理論が息を吹き返している。その名も「ラマルキズム」——フランスの生物学者ジャン=バティスト・ラマルクが1809年に提唱した仮説だ。
簡単に言うと、親が生きている間に獲得した特徴(たとえば鍛えて手に入れた筋肉や、環境に適応して身につけた性質)が、なんと子どもにも遺伝するという考え方。ダーウィンの「生まれつきの個体差が自然淘汰される」というメカニズムとは真逆のアプローチだが、最近の研究で「これ、実は結構当たってるんじゃね?」という証拠が次々と見つかっている。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro ラマルクが否定された決定的な実験は、1904年にドイツのアウグスト・ワイスマンが行ったもの。彼はラットの尻尾を何世代にもわたって切除し続けたが、子孫はちゃんと尻尾を持って生まれてきた。つまり「親の努力が遺伝する」という素朴なラマルク説は、生物学の教科書で「見事に反証された仮説」として扱われてきた。
ところが、だ。現代の研究が示すのは「ラマルクは完全に間違っていたわけではない」という事実。たとえば体長1ミリの線虫「C.エレガンス」は、ウイルスや飢餓、高温などのストレスにさらされると、それに対抗するための小さなRNA分子を作り出す。驚くべきことに、このRNAは生殖の際に卵に受け継がれ、子や孫の世代も生まれながらにして「親の経験済みのストレス」に強くなっているのだ。人間で言えば、親がインフルエンザのワクチンを打つと、生まれてくる子どもにも免疫がついているようなもの。
これはけっして特殊な例ではない。イネを寒さにさらすと、遺伝子に化学的なタグが付いて耐寒性が“記憶”され、熱帯原産のイネが北方へ分布を広げた例もある。さらに、シャチの母親が獲物の狩り方を学習し、そのスキルを子に伝える行動レベルの「文化遺伝」も、広い意味ではラマルキズムの一種だ。この行動の継承は、なんと別種のシャチを生み出すほどの影響を与えているという。
「じゃあダーウィンは間違いだったの?」というと、そうではない。自然選択説が進化の大部分を説明できるのは今も変わらない。ただ、スウェーデンのルンド大学のピム・エデラール教授(本書『The Selective Organism』の著者)は「ラマルク的な獲得形質の遺伝は、自然選択と並ぶ第二の進化の原動力」だと主張する。ダーウィン進化では個体は「環境にテストされる標的」だが、ラマルク進化では個体自身が「環境に応じて特性を選ぶ主体」になる。この二つは対立するのではなく、補完し合う関係にあるというわけだ。
この考え方は実用的にも有望だ。すでにオーストラリアの研究者は、サンゴに熱ストレスを与えてエピジェネティックな応答を引き出し、より高温に強いサンゴを育てる実験を始めている。農業では、土壌や気候への曝露が次世代の作物に有利に働くような新たな品種改良の手法が考えられる。さらに人間の健康面でも、親の肥満や依存症の傾向が子どもに影響するなら、予防プログラムはその世代だけでなく将来の世代にも恩恵をもたらす可能性がある。
「進化論も進化している」——ダーウィンから160年以上、ラマルクから200年以上。科学は一度否定したアイデアを、新たな証拠とともにもう一度拾い上げる懐の深さを持っているようだ。
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