ジャンクフード+マイクロプラスチックが肝臓をボロボロにする?マウスで衝撃のメカニズム判明
「ちょっとした買い物で毎日持って帰るレジ袋。あれが体内に入ったら、肝臓でどんな悪さをするのか?」――そんな疑問に、ある研究が一つの答えを出した。しかも、答えは「食事の質で被害が変わる」という、身につまされる内容だ。
米オクラホマ大学の研究チームが『Science Advances』に発表した論文によると、ポリエチレンのマイクロプラスチックに8週間さらされたオスのマウスは、血中に肝障害マーカーが上昇。さらに、高脂肪・高フルクトース・高コレステロールの「ジャンク寄り」な食事を与えられたマウスでは、肝臓に脂肪が溜まり、炎症が劇的に悪化したという。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro この研究がすごいのは、単に「悪い」と結論づけただけではない点だ。従来の研究は臓器全体の平均的な遺伝子の動きを見るだけだったが、今回は「空間トランスクリプトミクス」という技術を採用。肝臓の組織の中で、どこが一番やられているのかを細胞レベルでマッピングすることに成功した。
結果、マイクロプラスチックが肝臓の中に「炎症のホットスポット」を作り出していることが判明。特に酸素が少なく代謝活動が活発な「中間帯~中心静脈周辺領域」で被害が集中していた。まるで街の気温マップで、特定の通りだけが異常に暑くなっているようなイメージだ。
さらに注目すべきは、この領域で肝臓の免疫最前線である「クッパー細胞」が減少し、代わりに「中間帯肝細胞」が増えていたこと。この細胞バランスの変化が、炎症の強さとピタリと一致した。
ここで登場するのが、鍵タンパク質「PPARα」。通常は肝臓が脂肪を燃やしたり炎症を抑えたりする司令塔なのだが、マイクロプラスチックにさらされるとその発現が異常に上昇。特に悪い食事と組み合わさると、その傾向が顕著だった。
研究チームは、このPPARαが別のタンパク質「Anxa2」のスイッチを入れることを発見。Anxa2は組織の損傷応答にも修復にも関わるややこしいタンパク質で、マイクロプラスチックがいる環境では炎症ゾーンで異常に活性化していた。
しかも、追加実験で因果関係もしっかり確認。肝臓細胞にPPARαを活性化する薬を投与するとAnxa2が上昇し、逆にPPARαの働きを薬や遺伝子操作で止めると、マイクロプラスチックによるAnxa2の上昇が起こらなかった。別の研究グループのデータを使った検証でも、PPARαとAnxa2の連動は一貫していた。
ここで気になるのが、人間への応用だ。すでに人間の肝臓組織からもマイクロプラスチックは見つかっている。しかも、現在肝疾患の治療薬として治験中の薬のいくつかは、まさにこのPPARαを標的にしている。つまり、患者が知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを摂取していて、それが薬の効き目に影響を与えている可能性があるわけだ。
もちろん、これはあくまでマウスの話。論文も「人間の肝臓病への関連性はまだ確立されていない」と断っている。著者らは「個々の細胞を分離するのが技術的に難しい」「遺伝子パネルが全ゲノムをカバーしていない」など、いくつかの限界も正直に認めている。
それでも、「ポリエチレンは人間の肝臓で最も多く見られるマイクロプラスチックなのに、研究が遅れていた」というギャップを埋めた点で、この研究の価値は大きい。毎日の食事が、目に見えないプラスチックの害を増幅するかもしれない――そんな警告を、そっと突きつけられた気分になる。
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