同じ年齢なのに体が違う…5つの「老化時計」は全部別物だった
「同じ年の生まれなのに、あの人の方が若く見える」——そんな経験、誰にでもあるはず。科学者たちは長年、この「見た目と実年齢のギャップ」を測るツールとして「エピジェネティック時計」を開発してきた。DNAの化学タグを読み取って、体がどれだけ老化しているかを推定するのだ。
ところが、研究や臨床の現場で広く使われている5つの主要な老化時計(Horvath、Hannum、PhenoAge、GrimAge、DunedinPACE)が、実はそれぞれまったく別の生物学的プロセスを測定していることが、大規模研究で明らかになった。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 南カリフォルニア大学やUCLAなどのチームは、アメリカの50歳以上3227人の血液データを分析。同じ血液サンプルからDNAの化学タグと遺伝子のオン・オフ状態を同時に調べたところ、衝撃の事実が浮かび上がった。
なんと、5つの時計すべてに共通する遺伝子は1つもなかった。最も古いHorvath時計はたった49個の遺伝子の変化と関連していたのに対し、最新のDunedinPACEは3200以上の遺伝子と関連。この差はあまりにも大きい。
それぞれの時計が何を捉えているかというと、Horvathは細胞の基本的な代謝やコミュニケーション。Hannumは免疫機能と炎症。PhenoAgeは細胞の老化やストレス応答。GrimAgeは免疫監視経路と喫煙や炎症のマーカー。そしてDunedinPACEはタンパク質代謝、免疫シグナル、細胞のエネルギー生産、DNA修復など、実に広範囲にわたる。
ただ、4つの時計に共通していたのは「免疫系の活動」、特に慢性炎症のシグナル。老化と炎症の関係はやはり深いようだ。
研究チームはこの発見をもとに、新しい遺伝子発現ベースのスコア「TAGS」を開発。従来の時計よりも、糖尿病や心臓病、肺疾患、炎症マーカーとの関連が強いケースが確認された。死亡率の予測では、すべてのTAGSが有意な結果を示したのに対し、古い2つの時計(HorvathとHannum)は単独では有意な予測ができなかった。
ただし、TAGSが万能というわけではない。握力や認知機能、心理的健康との関連は弱く、むしろ従来の時計(GrimAgeやDunedinPACE)の方が優れている部分もあった。
「どの時計を使うかで、見える景色がまったく変わる」と研究者たちは警告する。例えば、抗炎症研究にはGrimAgeが適しているが、Horvathは免疫プロセスとほぼ無関係。運動などの介入効果を追うなら、複数のシステムをカバーするDunedinPACEが向いているかもしれない。
この研究結果は、老化時計が研究ラボから臨床や消費者向け製品に急速に広がる中で、非常にタイムリー。もしあなたが「エピジェネティック年齢」の数値を医者から渡されたら、それがどの時計で測られたものなのか、一度確認した方がいいかもしれない。
同じ「老化」という言葉でも、中身はこんなに違う——というのが、今回の研究の核心だ。
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