インプロ(即興演劇)が不安を抱える10代の社交スキルを伸ばすと判明、292人調査
「子どもに即興コメディ教室を習わせる」って、一見変わった子育て術に聞こえるかもしれない。でも、スイスの研究チームが292人の高校生を対象に9週間かけて調べたところ、これが意外なほどちゃんと効くみたいなんだ。
研究はジュネーブの職業高校で実施。参加者を即興演劇(インプロ)、マインドフルネス瞑想、社会性・感情ボードゲーム、そして比較用のパソコン操作講座の4グループに分けて、前後で社会性や感情の能力を測定した。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー まず注目すべきは、不安が中~高レベルの生徒たち。比較グループに回った子たちは、9週間で「自己効力感(課題に立ち向かう自信)」が低下し、情緒的・行動的な問題が増えた。ところが、インプロ・マインドフルネス・ボードゲームのいずれかに参加した不安な子たちは、それ以上悪化しなかった。研究者はこれを「保護効果」と呼ぶ。つまり、ただでさえしんどい時期に、何か構造化された社会情緒的活動をやるだけで、崖っぷちから落ちるのを防げたってわけ。
ここからが本題。3つの活動の中で、**唯一インプロだけが**「他人の視点を理解する力(認知的共感)」と「協力して仕事をする意欲(協調的マインドセット)」という2つの対人スキルを向上させた。しかも、その効果は参加前の不安レベルに関係なく、全員に現れた。
なんでインプロだけが特別なのか?理由は活動の性質にある。インプロでは台本なしでパートナーと即興のシーンを作り上げる。相手の意図を読み取り、相手の提案を受け入れ、さらに自分から何かを加えてシーンを続ける。一瞬たりとも気を抜けない、めちゃくちゃ濃い社会的インタラクションが要求されるんだ。研究者は「この継続的で社会的に強度の高い関与が、他の形式より優れた結果につながったのでは」と推測している。
ちなみに、マインドフルネスとボードゲームに関しては、研究者が期待した「内面へのスキル(感情調整など)」や「感情認識」の向上は確認できなかった。どちらも保護効果はあったけど、特定のスキルを伸ばすところまではいかなかった。9週間という期間が短すぎた可能性もあるし、過去の研究でも学校でのマインドフルネスは、ちゃんとした比較対象と比べると効果がまちまちだって報告がある。
面白いのが、インプロは生徒の人気も一番高かったこと。楽しさの平均スコアは100点満点中74点。ボードゲームが70点、マインドフルネスが57点、パソコン講座は55点だった。楽しさが結果に影響した可能性は否定できないけど、研究者は「活動そのものの効果と楽しさの効果を分離するのは難しい」としている。
この研究は2021年秋に実施された。ちょうどパンデミックによる社会的制限がまだ色濃く残っていた時期で、思春期のメンタルヘルスが全般的に悪化していたタイミング。比較グループの不安な子たちが悪化したのも、その傾向に沿っている。そんな中で、たとえ「現状維持」でも、価値があると研究者は指摘する。
もちろん万能薬じゃない。この研究はジュネーブの職業高校という限られた環境での結果だし、自己報告式のアンケートに頼っている部分もある。でも、「不安な子にはとりあえず何かやらせとけ」じゃなくて、「インプロなら共感力と協調性も伸ばせるかも」という具体的な選択肢を示した点は大きい。学校のカリキュラムにインプロを取り入れる動き、これから増えるかもしれないな。
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